がん検診の精度は?

2025年2月26日

まだまだ寒い日が続いていますが、もう少しの我慢で春がやってきます。おそらくこのブログがUPされる頃は春の気配が感じられていると思います。

 さて、今回は少し算数の知識を交えて簡単ながん検診の成績(精度)について考えてみましょう。そこで質問です「あなたは乳がん検診のマンモグラフィー(X線検査による方法)を受診して異常と指摘され精密検査を受けるようにハガキが届きました。あなたはがんに罹ったのでしょうか?」

  異常、=即がんと言い切れませんね。異常は正常では無いと言う事です。乳房には乳腺症や乳腺炎、線維腺腫などがん以外の疾患もあります。では、乳がん検診で異常と指摘されたらどれ位の確率で本当に乳がんになっていると言えるのでしょう。

では、ここで少し算数の知識を用いて、その確率を求めてみましょう。国立がん研究センターが報告している年齢階層別にみた乳がんの罹患率は、罹患率(りかん)とは、対象となる人がある期間にその病気に罹った割合のことで、簡単に言うと発症率になります。例えば50歳から59歳までの人は、人口10万人に対して凡そ230人が乳がんに罹患しているので、罹患率は0.23%と言うことになります。次に50歳代のマンモグラフィー受診者における感度(がんをがんと正しく診断できる確率)は85.8%で、特異度(がんで無いものをがんで無いと正しく診断で率)は90.7%です。(厚生労働省のがん検診の有効性評価研究班報告より)これらのデータをもとに計算しますが、ここからは面倒くさい計算になるので少し飛ばします。仮に私が55歳であった場合、乳がんに罹る確率は先ほどのデータから何もしなくても0.23%です。「なんだ、少ない」と考えてはいけません。年齢層別で区切っているので全年代層を加算したら、即ち生涯を考えたら、結構な確率で乳がんに患う可能性があると言えます。

話を戻しますが、がんの疑いと診断したものが最終的に結果から遡ってがんであった場合の確率、即ち診断の的中度のことを陽性反応的中度と言いますが、この陽性反応的中度を求めることで「異常あり」と診断された健診結果のうち何割が本当にがんであったが求められます。

その式は「陽性反応的中度=真陽性/(真陽性+偽陽性)=(23×85.8%)/(23×85.8%)+(9977×8.3%)=2.3%」となります。

『真陽性=検査で陽性と判定されたものが実際に陽性であったもの:陽性者数×感度』

『偽陽性=実際は陰性であったものが検査で陽性と判定されたもの:真陰性×(100-特異度)』

 以上より、検診を受けても受けなくても50歳代なら乳がんになる確率は0.23%です。がん検診で異常を指摘されれば、乳がんである確率が10倍増えます。がん検診で異常を指摘されたら即座にがんと言う事では無いので過度な心配は要りませんが、その確率は10倍にあると思って、異常を指摘されたら必ず精密検査を受けて下さい。がんは早期に発見できれば治癒可能な疾患です。

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